ワープ10 ハイドパーク、ピーターパンが見つめる民主主義!?
約45年前の7月頃、私は、ヨーロッパを仕事で訪れました。
ます、ロンドンに到着。打ち合わせが終わり、ピカデリーサーカスなどを
回って中心部の「ハイドパーク」に立ち寄りました。
この公園は、いろいろ名所・名物がある公園として日本でも有名でした。
そして、その一つが「ピーターパン」でした。
多分皆さん、ご存じだと思いますが、「ピーターパン」は20世紀の初め
イギリスで創作されたファンタジー「大人にならない少年」の主人公です。
世界的に有名になったファンタジーのその主人公の銅像があるのが、
この公園でした。
私も小さい頃、その絵本やアニメを見て楽しかったのを覚えています。
幼心に、少年が自由に空を飛び、日本では思いもつかない、
いろいろな冒険に次々挑戦していくのが魅力でした。
このため、私は機会があれば一度は訪ねてみたいと思っていました。
実はこの時に、私はこのピーターパンの銅像を探したのですが、
公園が広いので見つけらませんでした。残念
また、当日は、あいにくの曇り空でしたが、そこでは、ビジネスマンが
ジョギングしたり、主婦が犬を連れて散歩したり、集まって井戸端会議を
していて、ロンドン市民の日常が垣間見えました。
私は、本当に広い公園内の散策を続けていましたが、ちょっと喉がかわいたので
売店で飲み物を買って、近くのベンチ腰を下ろしました。
この時、私は「世界はどこでも同じ光景だな~」とぼんやり考えていました。
と言うのも、私は以前に訪れたアメリカ、ロス・アンゼルスの公園を
思い出したからです。そこでも、やはりおばちゃん達が井戸端会議に
花を咲かせていたからです。
暫くの間、私は、「なんでもない」その光景を見ながら、軽く飲み物を飲んで
休んでいるとちょっと不思議な光景が!
「公園で老若男女がそれぞれの思いを熱弁!」
〇テーマは国策、税金、年金等
公園の広場にはお立ち台があり、時計周りに60歳代のおじさん、
40代の主婦、10代の中学生がそれぞれの立場で自分の意見を述べ始めました。
おじさんは社会問題、主婦は生活環境の改善、中学生は当時の政権批判の持論を
大声で主張していました。
私は、「何が始まったのか?」と想定外の光景にかなり驚きました。
私はこうした「街頭演説?」は、日本なら、選挙の際の候補者の街頭演説しか
見たことが無かったので、本当に面食らいました。
しかも、平日の昼間なので、誰も真剣には聞かないだろうと考えていました。
また、集まっても数人、単純に「当然、おじさん、主婦、中学生の順で
聴衆があつまるだろうな」とも思っていました。
そして、「日本なら中学生(子供)の主張は誰も聞かないだろう」
と思っていました。
しかし、暫くすると、驚きの事態が出現しました。
聴衆は右回りで次々増えていき、なんと中学生のお立ち台の周りは
大勢の人だかりができました!
多分約30人から50人?私も真剣に聞いてみましたが、私の拙い英語力では、
中学生の早口で主張する政権批判は、ほとんど理解できませんでした。
悲しいことに、政治のシステムも日本と違うので私には、
概要しか分かりませんでした。
しかし、中学生(若者)目線で自国・イギリスの将来像について熱く語っている
感じが新鮮でした。
もっと深く知りたいと思いましたが、勉強不足で本当に残念でした。
これに対して、聴衆も彼の主張を静かに熱心に聞いていました。
この光景は、私には初めての経験で非常に印象的で今でも記憶に残っています。
続いて、私は主婦、おじさんの順で聞いて回りました。
主婦は「税金と社会保障をテーマ」に税金が高い、生活が苦しいとの
主張をしていた様でした。
取り巻いた主婦らから「そうだ、そうだ」と言う相槌の声も多数聞こえました。
おじさんが、「ペンション、ペンション」と大声で主張していたのは
やはり「年金問題」だと思います。
しかし、このおじさんのお立ち台には聴衆は数人しかいませんでした。
「イギリスの民主主義の原点は公園での自由な発言!」
私は、暫くこの光景を見ていましたが、ほんの「一端」とは言え、
イギリスの民主主義の原点を垣間見た気がしました。
後で、調べるとこのスペースは誰でも演説できることで有名な
「スピーカーズ・コーナー」と言われていました。
かつては、ここで哲学者の「マルクス」やソ連の指導者だった「レーニン」ら
歴史を変えた人物たちが演説をした歴史的なお立ち台だそうです。
また、私はたまたま訪れた公園で、偶然にも老若男女が同時に
それぞれの思いを自由に発信する現場に居合わせて、「生」で
イギリス流の民主主義の原点を見聞できた事に感謝の気持ちを抱きました。
これもピーターパンのお導き?(笑)
それと同時に、日本とイギリスの「民主主義」の大きな差を肌身で感じました。
「民主主義のマナーとエチケット」
日本の常識と世界の常識の違いを体験できました。
そして、「日本でこうした事が実現できるのか?」
日本でもこうした「誰でも自由に発言できる場所が生まれて欲しい」
とも思います。
しかし、当然、発言する側にも、聴衆側にも
それぞれマナー、エチケットが必要です。
また、私が実感したのは、日本の民主主義はイギリス生まれの、
アメリカを経由した「輸入文化」だと言う事です!
最後に、余談ですが、今でもピーターパンが静かにこの様子(
スピーカーズ・コーナー)を見守っているのでは?と思います。
そして、「複雑化する今後の民主主義の行方を模索しているのでは?」
とも思っています。
参考:ハイドパークURL
公園名: ハイドパーク(Hyde Park)
所在地: イギリス ロンドン
公式URL: https://www.royalparks.org.uk/parks/hyde-park
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